山、川、森、人、茶の力が漲る
土佐茶が育つ場所
行ってみよう!
どんなところで土佐茶が育ってるのか行ってみましょう。ちょっと頭に絵を思い浮かべながら、私と一緒にドライブしてみましょう。いつか実際に高知に来られたときの参考になればと思います。
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はりまや橋交差点
はりまや橋はりまや橋交差点の北にあります。
土電(とでん)
東西に伸びる軌道。西の終点は「いの」
県外の方にもわかりやすいところで「はりまや橋」からにしましょう。はりまや橋交差点の道路中央を見ると東西南北の十字に鉄道の線路が伸びています。枕木ではなく、敷石がしかれ車や人がその上を横切っても大丈夫なように、線路は道路と同じ高さになっています。これが土佐電氣鐵道、略して土電(とでん)という路面電車が走っています。
子供のころ、どんな文字なのかも知らずに「とでん、とでん」と当たり前に呼んでいました。創業は明治37年、日本で一番古くからの路面電車ではないかと思います。高知市民の大切な足となっています。
その土電が中央を走る国道33号を西に向かって11kmほど走ると、土電の終点の「いの町」に入ります。土電に別れを告げ、33号を数分走ると、右手に「紙の博物館」が見えてきます。館内では、和紙が日本の文化に与えた影響や土佐和紙の歴史を知ることが出来ます。また、紙漉の体験や、土佐和紙の様々な製品を購入することが出来ます。
そこを車で走ると、線路の上を車が走っている特有の標識(軌道敷内通行可)が目に入るときがあります。この区間は、乗用車だけですが、路面電車の軌道の上を走ってもかまわないという標識です。車の方は、一度経験してみてもと思いますが、時間帯があったり、電車の運行を妨げてはいけなかったり、実際、渋滞で元の道路へ戻れなくて後ろから電車に警笛で思いっきりあおられている車を何度か見たことがありますし、けっこう勇気いるかもです。
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茶畑いの町の街をぬけると、はずれに仁淀川を渡る仁淀川橋というトラス形式で銀色に塗装された橋があります。この橋のたもとが二本道に分かれていて、橋を渡らず右に進むと国道194号になり、蛇行した仁淀川を左に見ながらだんだんに深くなっていく山間を走り、仁淀川に注ぎ込む上八川(かみやかわ)川に沿って北に上がっていきます。深く険しい山間の道を走り、いくつかのトンネルを抜け、高知県と愛媛県を分ける四国山脈を真っ直ぐに打ち抜く寒風山トンネル(全長5,432m)を抜けると瀬戸内側の西条市に出ます。
一方、左の国道33号をそのまま走ると仁淀川橋を渡ります。蛇行しながら北西に上がっていく仁淀川に少しの間別れを告げ、緩やかな上りの平野を走ります。日高村、佐川町あたりからだんだん上り坂になり、越知町の越知橋を渡ると、右に見えてくる仁淀川と再び合流します。このあたりから山間の道へ入っていきます。
深い山間の道を川沿いに蛇行しながら走り、熊秋トンネル(861.5m)を抜け、寺村隧道(572m)を抜けると、広い河原はなくなり、水深が深くなった仁淀川が右眼下に見えます。ここから仁淀町に入ります。急峻な山の斜面にところどころ張り付くように民家が建っています。
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高知茶業試験場茶畑
橋の擬宝珠はお茶を飲むかっぱ。さすがお茶の町!
仁淀川
左眼下に仁淀川を見ながらしばらく走っていると、向こう岸の斜面に高知茶業試験場が見えてきます。お茶の木を「高知茶業試験場」という文字に型どって植えた茶畑が見えます。このあたりの急峻な山肌一帯でお茶好きが感動する力を秘めた土佐茶ができます。
高い山の頂上近くに民家や水田があったり、崖のような場所に棚田や段々畑があったりします。こんな急な場所で、がけ崩れや土砂崩れは大丈夫なのかと思うように見えますが、この辺で、土砂崩れで誰々が…という事故をあまり聞いたことがありません。地元の人たちは崩れる場所と崩れない場所をよく知っています。
現在、集落がある場所は、昔に地すべりがあって、不安定な土地が安定した場所だということです。それにしても、見た目は本当に大丈夫かなあというくらい急なところです。また、このようは土地は、地下水の影響により地すべりがおこり土地が耕された状態にあり、ミネラルが多く含まれている湧き水もあり、棚田ではすごく美味しいお米が出来るそうです。
そのような土地にある茶畑ですから、やせた土地でもできるお茶にとっては、天国のようなところで、ここで出来るお茶が美味しいのは当然といえます。
そのまま33号を進むと大渡ダムが見えてきます。このダム湖が高知県と愛媛県の県境になり、仁淀川の終点となります。川の流れの通りにたどりますと、大渡ダムから始まり、四国山脈にそびえる石鎚山(標高1,982m)を水源とした沢山の支流から清らかな水を集めながら平野へと下り川幅を広げ、先ほど通った「いの町」の横を流れ太平洋に注ぎこまれます。
国土交通省四国地方整備局が管内の一級河川で実施した水質調査の結果、汚濁の度合いを示すBOD(生物化学的酸素要求量)値の比較で、仁淀川が1位になりました。日本最後の清流と言われている四万十川よりもきれいな川ということになります。
今でも生活廃水が流されているにもかかわらず、自然浄化作用が強い川なのですが、それに頼っていては、近いうちに限界がきて、それを超えると加速度的に汚染された川になることでしょう。四万十川の二の舞にならないように、一位の今が考え時なのでしょうね。
自然の力による必然で出来た、この恵まれた土地を大切に守っていくには、守るというよりも、「お邪魔します。」「守っていただく」という謙虚な心が問われる土地なのではと、思ってしまいます。とにかく、山力、川力、森力、人力、茶力がみなぎる土地です。